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国内MBA合格で差がつく研究計画書の書き方|先行研究論文の正しい読み方を伝授

先行研究の読み方

目次

はじめに

国内MBA合格を目指す上で、研究計画書の質は極めて重要です。特に先行研究論文の理解と活用が、計画書の説得力や独自性を左右します。この記事を読めば、国内MBA受験に不可欠な先行研究論文の効率的な探し方、時間を無駄にしない読み方のテクニック、そして読んだ内容を自身の研究計画書へ効果的に反映させる具体的な方法まで、網羅的に理解できます。質の高い研究計画書を作成し、合格を掴むための実践的な知識が身につきます。以前、先行研究について書いた網羅的な記事はこちら

 

1. なぜ国内MBAの研究計画書で先行研究の論文理解が重要なのか

国内MBA(経営学修士)の受験において、研究計画書は合否を左右する極めて重要な提出書類です。特に、自身の研究テーマに関連する先行研究論文の深い理解は、質の高い研究計画書を作成するための絶対条件と言えます。なぜなら、先行研究の理解は、単に既存の知識を確認するだけでなく、これからあなたが行おうとしている研究の価値を明確に示し、審査員を納得させるための根幹となるからです。この章では、なぜ国内MBAの研究計画書において先行研究論文の理解がそれほどまでに重要なのか、その理由を多角的に解説します。

1.1 研究テーマのオリジナリティと意義を示す土台

MBAのプログラム、特に研究に重きを置く国内MBAでは、独自性のある研究テーマ設定とその意義の明確化が強く求められます。先行研究論文を読み込むことで、その分野で既に何が明らかになっており、どのような課題が残されているのか(リサーチギャップ)を正確に把握することができます。このリサーチギャップこそが、あなたの研究が取り組むべき領域であり、オリジナリティの源泉となります。

先行研究を踏まえずに、「自分はこう思う」といった主観的な問題意識だけを記述しても、それが学術的あるいは実務的にどのような貢献をもたらすのか、客観的な根拠を示すことはできません。先行研究レビューを通じて、自身の研究が既存の知識体系の中でどのような位置づけにあり、どのような新しい知見や解決策を提示できるのかを具体的に示すことで、初めて研究テーマのオリジナリティと意義が説得力を持つものになります。審査員は、あなたが既存の研究動向をきちんと理解した上で、意味のある問いを立てているかを見ています。

1.2 自身の問題意識を深掘りし研究の質を高める

多くの受験生は、自身の業務経験などから漠然とした問題意識を持っていることでしょう。しかし、それを学術的な研究課題(リサーチクエスチョン)へと昇華させるためには、先行研究による知識のインプットが不可欠です。関連分野の論文を読むことで、自身の問題意識がどのような学術的背景を持っているのか、どのような理論や概念で説明できる可能性があるのかが見えてきます。

また、先行研究では、様々な研究アプローチ、調査方法、分析手法が用いられています。これらの事例を学ぶことで、自身の研究テーマに対してどのようなアプローチが有効か、どのようなデータを収集し分析すれば問いに答えられるか、といった具体的な研究設計のヒントを得ることができます。先行研究は、あなたの問題意識をよりシャープにし、研究計画全体の質を高めるための、いわば「巨人の肩」に乗るための重要なステップなのです。

1.3 論理的な研究計画書を作成するための基礎知識

研究計画書は、自身の研究構想を論理的に説明し、その実現可能性と価値を審査員に伝えるための文書です。先行研究の理解は、この論理構成の骨格を形成するための基礎知識となります。研究の背景、目的、問い、方法、期待される貢献といった各構成要素は、先行研究との関連性の中で有機的に結びついていなければなりません。

例えば、「研究背景」では先行研究で指摘されている課題や動向を述べ、「研究目的」では先行研究の限界点を踏まえて本研究が目指す到達点を示し、「研究の問い」は先行研究レビューから導き出された具体的な疑問点を提示します。このように、各項目において先行研究を適切に参照し、論理的な繋がりを持たせることで、研究計画全体の説得力と一貫性が格段に向上します。以下の表は、研究計画書の主要な構成要素と、先行研究が果たす役割をまとめたものです。

研究計画書の構成要素 先行研究から得られる情報・役割
研究背景 問題の重要性、既存研究の動向、研究の必要性を示す客観的な根拠を提供します。
研究目的 先行研究で未解明な点(リサーチギャップ)を特定し、本研究が何を明らかにしようとしているのか、そのゴールを明確に設定する基盤となります。
研究の問い(リサーチクエスチョン) 先行研究レビューに基づき、漠然とした問題意識を、具体的かつ検証可能な問いへと精緻化します。
研究方法 先行研究で用いられた有効な理論、分析枠組み、調査・分析手法を参考にし、自身の研究デザインの妥当性を示す根拠となります。
研究の意義・貢献 先行研究との比較において、本研究がもたらす学術的・実務的な新規性や価値(オリジナリティ)を具体的に主張するための論拠となります。

このように、国内MBAの研究計画書作成において、先行研究論文の理解は避けて通れない重要なプロセスです。次の章からは、これらの先行研究論文を効率的に探し、読み解くための具体的な方法について解説していきます。

 

2. 国内MBA受験生向け 先行研究論文の探し方

国内MBAの入試で提出する研究計画書において、先行研究の調査は避けて通れない重要なプロセスです。自身の研究テーマに関連する過去の研究動向を把握し、その上で自身の研究のオリジナリティや意義を明確に示す必要があります。しかし、多忙な社会人受験生にとって、膨大な学術情報の中から効率的かつ的確に関連論文を探し出すことは容易ではありません。この章では、国内MBA受験生が先行研究論文を探すための具体的な方法と、その際に役立つデータベースやテクニックについて詳しく解説します。

2.1 主要な学術論文データベースを使いこなす

先行研究を探す上で、学術論文データベースの活用は不可欠です。信頼性の高い学術論文が体系的に整理されており、効率的な検索が可能です。ここでは、国内MBAの研究テーマ探しに特に役立つ主要なデータベースとその特徴、検索方法について解説します。

2.1.1 CiNii Articles(サイニィ アーティクルズ)での検索方法

CiNii Articlesは、国立情報学研究所(NII)が提供する日本国内の学術論文情報を網羅的に検索できるデータベースです。学協会刊行物や大学研究紀要など、多様な論文情報を収録しており、特に日本語の論文を探す際に非常に有用です。基本的な検索方法は、トップページの検索窓に関心のあるキーワードを入力するだけです。より精度を高めたい場合は、「詳細検索」機能を利用し、タイトル、著者名、収録刊行物名、発行年などで絞り込むことができます。検索結果一覧では、論文タイトル、著者名、収録誌、抄録などを確認でき、多くの場合、本文PDFへのリンク(機関リポジトリやJ-STAGEなど)も提供されています。

2.1.2 J-STAGE(ジェイステージ)での検索方法

J-STAGEは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運営する電子ジャーナルプラットフォームです。科学技術分野全般をカバーしていますが、経営学、経済学、社会科学系の学術雑誌も多数公開されています。無料で閲覧できる論文も多く、比較的新しい研究動向を掴むのに役立ちます。基本的なキーワード検索のほか、分野別、ジャーナル別、発行機関別での検索も可能です。CiNii Articlesと連携している論文も多く、相互に参照することでより網羅的な調査が可能です。検索結果からは、抄録の確認や本文PDFのダウンロード(公開範囲による)が行えます。

2.1.3 Google Scholar(グーグル スカラー)を有効活用するコツ

Google Scholarは、Googleが提供する学術情報専門の検索エンジンです。分野を問わず、論文、学術誌、書籍、要旨、学位論文など、幅広い学術文献を検索できます。その網羅性の高さが最大のメリットですが、玉石混交な側面もあります。有効活用のコツとしては、まず検索演算子(AND, OR, “”でのフレーズ検索など)を駆使して検索精度を高めることが挙げられます。また、「引用元」機能を使えば、特定の論文を引用している新しい論文を効率的に探すことができます。さらに、「アラート作成」機能を使えば、特定のキーワードや著者に関する新着論文情報をメールで受け取ることも可能です。大学図書館のアカウントと連携設定を行えば、学内からアクセス可能な有料論文へのリンクが表示される場合もあります。

2.1.4 大学図書館や国立国会図書館サーチの活用法

もしあなたが既に大学生・大学院生であれば、所属大学の図書館ウェブサイトは強力なツールとなります。大学図書館は、様々な学術データベース(海外のものも含む)と契約しており、学内ネットワーク経由で無料でアクセスできる場合が多いです。また、図書館司書(レファレンス担当)に相談すれば、研究テーマに合ったデータベースや検索方法について専門的なアドバイスを受けることができます。進学を希望するMBAの大学図書館ウェブサイトを事前にチェックし、どのようなデータベースが利用可能か確認しておくのも良いでしょう。

国立国会図書館サーチ(NDL Search)は、国立国会図書館が所蔵する資料だけでなく、全国の公共図書館、大学図書館、専門図書館などの所蔵情報やデジタルアーカイブを統合的に検索できるサービスです。論文そのものを直接探すというよりは、関連書籍や博士論文、雑誌記事など、より広範な情報を探す際に役立ちます。

以下に、主要なデータベースの特徴をまとめます。

データベース名 主な特徴 得意分野 利用上のポイント
CiNii Articles 日本の学術論文を網羅的に検索可能。NII提供。 人文・社会科学、自然科学(特に国内発行論文) 日本語論文の探索に最適。機関リポジトリ連携。
J-STAGE 国内の科学技術系ジャーナル中心。無料公開論文多数。JST提供。 科学技術全般、経営・経済学なども含む 比較的新しい論文、オープンアクセス論文の探索に。
Google Scholar 網羅性が非常に高い。引用情報が豊富。 全分野(国内外問わず) 検索ノイズに注意。引用元検索やアラート機能が便利。
大学図書館DB 契約データベースへのアクセス。専門的サポート。 契約内容による(海外DBも多い) 所属・志望校の利用可能DBを確認。レファレンス活用。
NDL Search 国内の多様な資料(図書、雑誌、論文等)を横断検索。 全分野(特に国内資料) 広範な情報収集、所蔵確認に。

2.2 効果的な検索キーワードの選定方法

目的の論文にたどり着くためには、データベースの機能だけでなく、適切な検索キーワードを選定するスキルが極めて重要です。やみくもに検索しても時間ばかりがかかり、重要な文献を見逃してしまう可能性があります。効果的なキーワード選定の手順は以下の通りです。

  1. 研究テーマの核心概念を特定する: まず、自身の研究テーマの中心となるキーワードをいくつか挙げます。(例:「人材育成」「組織変革」「マーケティング戦略」)
  2. 同義語・類義語・関連語を洗い出す: 特定した核心概念について、同じ意味を持つ言葉(同義語)、似た意味を持つ言葉(類義語)、関連性の高い言葉をリストアップします。(例:「人材育成」なら「社員教育」「能力開発」「OJT」「キャリア開発」「人的資本投資」など)
  3. 英語キーワードも検討する: 特に経営学の分野では、海外の研究動向を把握することも重要です。日本語キーワードに対応する英語キーワードも調べておきましょう。(例:「人材育成」なら「Human Resource Development」「Talent Development」「Employee Training」など)
  4. キーワードを組み合わせる: 複数のキーワードをAND(両方含む)、OR(いずれか含む)、NOT(含まない)といった演算子で組み合わせて検索します。これにより、検索結果を絞り込んだり、広げたりすることができます。(例:「人材育成 AND 中小企業」「(OJT OR Off-JT) AND 効果測定」)
  5. 段階的に絞り込む: 最初は少し広めのキーワードで検索し、得られた結果を見ながら、より具体的なキーワードを追加したり、不要なキーワードを除外したりして、徐々に焦点を絞っていきます。
  6. 見つけた論文からヒントを得る: 関連性の高い論文が見つかったら、その論文で使われているキーワードや抄録中の用語を参考に、さらに検索キーワードを洗練させます。

キーワードの組み合わせと試行錯誤が、効率的な論文探索の鍵となります。

2.3 参考文献リストから関連論文を見つける読み方

学術論文データベースでのキーワード検索と並行して、あるいは検索で見つけた重要な論文を起点として、その論文の参考文献リスト(Reference List / Bibliography)を辿るという方法も非常に有効です。これは「芋づる式」や「文献サーフィン」とも呼ばれる手法です。

質の高い論文は、その分野における重要な先行研究を適切に引用しています。そのため、ある論文の参考文献リストをチェックすることで、その研究テーマに関連する他の重要な論文や、その分野の基礎となった古典的な研究を見つけ出すことができます。特に、何度も引用されている論文や、タイトルから自身の関心との関連性が高いと判断できる論文は、優先的に確認する価値があります。

さらに、Google Scholarなどのデータベースでは、特定の論文が「どの論文に引用されているか(被引用)」を調べることができます。これにより、その論文以降に発表された、関連する新しい研究動向を追跡することが可能です。この参考文献リストと被引用情報を活用することで、研究テーマに関する知識のネットワークを効率的に広げ、研究の系譜や最新の動向を深く理解することができます。

 

3. 時間がない受験生へ 先行研究論文の効率的な読み方テクニック

論文の効率的な読み方

国内MBAの受験準備は、仕事や学業と並行して進める方が多く、時間は非常に限られています。特に、研究計画書の質を左右する先行研究論文の調査と読み込みには、相応の時間を要します。しかし、効率的な読み方のテクニックを習得すれば、短時間で必要な情報を的確に掴み、質の高い研究計画書を作成することが可能になります。ここでは、忙しい国内MBA受験生のために、先行研究論文を効率的に読むための具体的なテクニックを解説します。

3.1 読むべき論文か素早く見極める タイトルと抄録の読み方

膨大な数の論文の中から、自分の研究テーマに本当に関連があり、読む価値のある論文を素早く見極めることは、時間効率を上げるための最初のステップです。そのために最も重要なのが、タイトルと抄録(アブストラクト)の読み方です。

タイトルには、その論文が「何について(研究対象)」「どのような視点で(理論的枠組みやアプローチ)」「何を明らかにしたのか(主要な発見)」といった核心的な情報が凝縮されています。まずはタイトルを注意深く読み、自身の関心と合致するかどうかを判断しましょう。キーワード検索でヒットした論文でも、タイトルから内容を推測し、関連性が低いと判断できれば、その論文を読む時間を節約できます。

次に、タイトルで関連性が高いと判断した論文の抄録を読みます。抄録は、通常、数百字程度で論文全体の要約が記述されており、以下の要素が含まれています。

  • 研究の背景と目的: なぜこの研究が行われたのか、何を明らかにしようとしているのか。
  • 研究方法: どのようなデータを用い、どのような分析手法で研究を進めたのか。
  • 主要な結果: 分析によって何が明らかになったのか。
  • 結論と示唆: 研究結果から導かれる結論や、学術的・実務的な貢献は何か。

抄録を読むだけで、論文全体の概要、主要な発見、そして自身の研究への貢献可能性を把握できます。特に「目的」と「結果」の部分に注目し、自分の問題意識やリサーチクエスチョンと照らし合わせて、深く読み進めるべき論文かどうかを最終的に判断しましょう。この段階で取捨選択を行うことで、読むべき論文を効率的に絞り込むことができます。

3.2 論文の全体像を掴む構成要素の理解(序論 先行研究 方法 結果 考察)

抄録で読む価値があると判断した論文は、次に全体像を把握するために、論文の構成要素を理解した上で読み進めることが効率的です。学術論文、特に経営学分野の論文は、一般的に以下のような構成(IMRaD形式に近い構成)で書かれています。各セクションの役割を理解することで、どこにどのような情報が書かれているかを予測しながら、効率的に読み進めることができます。

構成要素 主な内容と役割 読み方のポイント(研究計画書作成に向けて)
序論 (Introduction) 研究の背景、問題提起、研究目的、研究の意義、論文全体の構成など。 自身の研究計画書における問題意識や研究の必要性を記述する際の参考になります。どのような文脈で研究テーマが設定されているかを確認しましょう。
先行研究レビュー (Literature Review) 関連する過去の研究(先行研究)を整理・概観し、その研究分野における既存の知見や論点をまとめた上で、本研究の位置づけや貢献を明確にする。 自身の研究テーマに関する主要な研究動向や論点を把握できます。どのような研究が既に行われ、何がまだ解明されていないのか(リサーチギャップ)を見つける上で最も重要なセクションです。参考文献リストと合わせて活用しましょう。
研究方法 (Methodology) 研究目的を達成するために用いた具体的な研究デザイン、データ収集方法、分析手法などを記述する。 自身の研究計画書で研究方法を具体化する際の参考になります。どのようなアプローチ(質的研究、量的研究など)が用いられているか、どのようなデータが収集・分析されているかを確認しましょう。実現可能性を考える上でも重要です。
結果 (Results) 研究方法に基づいて得られた分析結果を客観的に記述する。図表などが多く用いられる。 分析によって具体的にどのような事実が明らかになったのかを正確に把握します。自身の研究で明らかにしたいこととの関連性を考えながら読みましょう。
考察 (Discussion) 得られた結果が何を意味するのかを解釈し、先行研究との関連性や理論的な含意、実務的な示唆、研究の限界、今後の課題などを論じる。 結果の解釈や、自身の研究の独自性・貢献を示す上でのヒントが得られます。特に「研究の限界」や「今後の課題」は、新たなリサーチクエスチョンを設定する上で参考になります。
結論 (Conclusion) 研究全体の要約、主要な発見の再確認、結論を簡潔にまとめる。 論文全体の主張を最終確認します。
参考文献リスト (References) 論文中で引用した文献の一覧。 関連性の高い他の重要論文を見つけるための手がかりとなります。(第2章参照)

すべてのセクションを同じ熱量で精読する必要はありません。まずは序論で研究の全体像を掴み、次に先行研究レビューで研究の位置づけを確認、そして考察で結論と意義を理解するという流れで、強弱をつけながら読むのが効率的です。自身の研究計画書作成の目的に応じて、特に重点的に読むべきセクション(例えば、研究方法や考察)を見極めましょう。

3.3 目的を持って読む 国内MBA研究計画書に繋がる論文の読み方

先行研究論文を読む際には、「国内MBAの研究計画書を作成する」という明確な目的意識を持つことが極めて重要です。漫然と読むのではなく、常に以下の問いを念頭に置きながら読むことで、必要な情報を効率的に収集し、自身の研究計画に活かすことができます。

  • この論文は、自分の研究テーマや問題意識とどのように関連しているか?
  • この論文の研究目的やリサーチクエスチョンは何か? それはどのように設定されているか? (自身の問い設定の参考に)
  • どのような理論的背景や概念枠組みに基づいているか? (自身の研究の理論的支柱を探るヒントに)
  • どのような研究手法(調査対象、データ収集、分析方法)が用いられているか? (自身の研究デザインを考える参考に)
  • 主要な発見(結果)は何か? それは自分の関心とどう繋がるか?
  • 結果からどのような考察や示唆が導かれているか? (自身の研究の意義や貢献を考えるヒントに)
  • この研究の限界点や、今後の課題として何が挙げられているか?ここに新たな研究の出発点(リサーチギャップ)が見つかることが多い)
  • この論文で引用されている他の重要な論文は何か?

これらの問いに対する答えを探しながら論文を読むことで、受動的なインプットではなく、能動的な情報収集となり、理解が深まるだけでなく、研究計画書の具体的な記述に繋がる発見を得やすくなります。論文の重要な箇所や、自身の研究に活かせそうなアイデア、疑問点などをメモしながら読む習慣をつけると、後で情報を整理しやすくなります。

3.4 批判的に読む クリティカルリーディングの重要性

先行研究論文を読む上で、内容をただ鵜呑みにするのではなく、批判的な視点を持って読む「クリティカルリーディング」を実践することが、研究計画書の質を高める上で不可欠です。クリティカルリーディングとは、論文の主張や論理展開、研究方法、結果の解釈などを多角的に吟味し、その妥当性や信頼性、限界点などを評価しながら読む態度を指します。

クリティカルリーディングを行う際には、以下のような観点を意識すると良いでしょう。

  • 論理の一貫性: 主張や議論の展開に飛躍や矛盾はないか? 前提と結論は適切に結びついているか?
  • 研究デザインの適切性: 研究目的を達成するために、選択された研究デザイン(調査対象、サンプルサイズ、データ収集方法など)は適切か?
  • 分析手法の妥当性: 用いられている分析手法は、データの性質や研究目的に合っているか?
  • 結果の解釈: 示されたデータから、著者の導き出した解釈や結論は妥当か?他の解釈の可能性はないか?
  • 一般化可能性: 研究結果は、どの範囲まで一般化できると考えられるか? 過度な一般化はされていないか?
  • 先行研究との関係: 先行研究レビューは網羅的かつ公平か? 既存の研究との関係性や位置づけは明確か?
  • 研究の限界とバイアス: 著者自身が認識している研究の限界点は何か? それ以外に潜在的なバイアス(選択バイアス、測定バイアスなど)はないか?

批判的に読むことで、その研究の強みだけでなく、弱みや限界、未解決の課題を客観的に把握することができます。これは、単に論文の内容を理解するだけでなく、先行研究を踏まえつつも、それを乗り越える独自の視点や研究アプローチを自身の研究計画書で示すための重要なステップとなります。先行研究の「穴」を見つけることが、オリジナリティのある研究テーマ設定に繋がるのです。

これらの効率的な読み方テクニックを駆使することで、限られた時間の中でも先行研究の理解を深め、国内MBA合格に繋がる質の高い研究計画書を作成するための強固な土台を築くことができるでしょう。

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4. 読んだ先行研究論文を研究計画書に活かす具体的な方法

国内MBAの入試において、研究計画書はあなたの研究能力と熱意を示す重要な書類です。特に、先行研究の理解度とその活かし方は、計画書の質を大きく左右します。先行研究論文を読み込むだけでなく、それを自身の研究計画に効果的に組み込むことで、説得力のある計画書を作成することができます。この章では、読んだ先行研究論文を研究計画書に具体的に活かすための方法を解説します。

4.1 先行研究レビューで研究の位置づけを明確にする書き方

研究計画書における先行研究レビューは、単に読んだ論文を要約するだけではありません。あなたの研究が、既存の学術的な知見の中でどのような位置づけにあるのか、そしてどのような貢献を目指すのかを示すための重要なパートです。

効果的な先行研究レビューを作成するためのポイントは以下の通りです。

  • 関連性の高い論文を選定する: 自身の研究テーマに直接関連する重要な論文を中心にレビューします。
  • テーマ別に整理・構成する: 個々の論文を羅列するのではなく、関連するテーマや論点ごとにグルーピングし、議論の流れを整理します。例えば、「〇〇理論に関する研究」「△△という現象の実証研究」「□□の課題に対するアプローチ」といった形で構成します。
  • 批判的に要約する: 各論文の主要な主張、研究方法、結果を簡潔にまとめると同時に、その研究の強みや限界、示唆する点などを自身の視点から評価します。
  • 研究のギャップを明確にする: 先行研究レビューを通じて、既存研究で何が明らかになっており、何がまだ解明されていないのか(リサーチギャップ)を浮き彫りにします。これが、あなたの研究の必要性・独自性を示す根拠となります。
  • 自身の研究への繋がりを示す: レビューの最後に、特定されたリサーチギャップに対して、自身の研究がどのように取り組み、どのような貢献を目指すのかを明確に記述します。「これらの先行研究を踏まえ、本研究では〇〇という点に着目し、△△を明らかにすることを目的とする」といった形で繋げます。

先行研究レビューは、あなたの問題意識の深さと、研究テーマに対する理解度を示す絶好の機会です。丁寧に記述することで、審査員にあなたの研究能力をアピールしましょう。

4.2 先行研究を踏まえた独自の研究課題設定のヒント

優れた研究計画書は、明確でオリジナリティのある研究課題(リサーチクエスチョン)に基づいています。先行研究を深く読み込むことは、この独自の研究課題を設定するための重要なステップです。

先行研究から独自の研究課題を設定するためのヒントをいくつかご紹介します。

  1. 先行研究の「限界」や「今後の課題」に着目する: 多くの学術論文の結論部分には、その研究の限界点や、将来の研究に向けた提案が記述されています。これらの記述は、新たな研究の出発点となるリサーチギャップの宝庫です。
  2. 異なる分野や理論を組み合わせる: 既存の研究分野の枠組みにとらわれず、他の分野の理論や分析手法を応用することで、新しい視点からの研究課題が見つかることがあります。例えば、経営学の研究に心理学や社会学の理論を取り入れるなどです。
  3. 研究対象や文脈を変えてみる: 先行研究が特定の産業や企業規模、国・地域を対象としている場合、異なる対象(例:大企業ではなく中小企業、製造業ではなくサービス業)や文脈(例:異なる文化圏、経済状況)に適用することで、新たな知見が得られる可能性があります。
  4. 実践的な課題から問いを立てる: あなた自身の実務経験や、社会で起きている具体的な問題意識から出発し、それに関連する先行研究を調べる中で、学術的にも意義のある研究課題へと昇華させることができます。
  5. 複数の先行研究を比較検討する: 異なる結果や見解を示している先行研究群を比較検討することで、なぜそのような違いが生じるのか、その背景にある要因は何か、といった新たな問いが生まれることがあります。

設定した研究課題が、先行研究を踏まえつつも独自性があり、かつ国内MBAでの研究として実現可能で意義のあるものになっているか、多角的に検討しましょう。

4.3 研究計画書における適切な引用ルールと参考文献リスト作成

学術的な文章である研究計画書において、先行研究を参照する際の適切な引用と、正確な参考文献リストの作成は絶対的なルールです。これを怠ると、盗用・剽窃とみなされる可能性があり、研究者としての信頼性を著しく損ないます。

引用ルールと参考文献リスト作成の基本を押さえましょう。

4.3.1 引用の基本

  • 引用する場面: 先行研究のアイデア、データ、理論、具体的な文章などを自身の研究計画書で参照・利用する場合は、必ず出典を明記する必要があります。
  • 直接引用と間接引用:
    • 直接引用: 先行研究の文章をそのまま抜き出して使用する場合。引用箇所を「」(かぎ括弧)で囲み、著者名、出版年、ページ番号を明記します。
    • 間接引用(パラフレーズ): 先行研究の内容を自分の言葉で要約・言い換えて記述する場合。この場合も、参照した情報源の著者名と出版年を明記する必要があります。研究計画書では、間接引用を中心に用いることが一般的です。
  • 引用スタイル: 引用の書式には、APAスタイル、MLAスタイル、シカゴスタイルなど、様々なスタイルが存在します。国内MBAでは、分野にもよりますがAPAスタイル(アメリカ心理学会)が広く用いられる傾向にあります。志望する研究科や教員の指示に従うのが最も確実ですが、特に指定がない場合は、いずれかのスタイルに統一して記述しましょう。

4.3.2 参考文献リストの作成

研究計画書で引用したすべての文献は、巻末に「参考文献」または「文献リスト」として一覧で記載する必要があります。

参考文献リストの記載例(APAスタイル 第7版準拠の例)
文献の種類 記載項目と書式例
書籍(単著) 著者名. (出版年). 書名. 出版社.
書籍(編著) 編者名 (編). (出版年). 書名. 出版社.
書籍の章 章の著者名. (出版年). 章のタイトル. In 編者名 (編), 書名 (pp. 開始ページ-終了ページ). 出版社.
学術雑誌論文 著者名. (出版年). 論文タイトル. 雑誌名, 巻数(号数), 開始ページ-終了ページ. DOIやURL(あれば)
ウェブサイト 著者名または団体名. (公開年または最終更新年, 月日). ウェブページのタイトル. サイト名. URL

参考文献リスト作成の注意点:

  • リストは著者名のアルファベット順(または五十音順)に並べます。
  • 記載する項目(著者名、出版年、タイトル、出版社、ページ番号など)は、文献の種類と選択した引用スタイルによって異なります。正確に記述しましょう。
  • 本文中の引用と参考文献リストの記載が、過不足なく正確に対応している必要があります。
  • 書式(イタリック、句読点など)もスタイルガイドに従い、一貫性を保ちます。

引用ルールと参考文献リストの作成は、研究の信頼性と透明性を担保する上で不可欠です。時間をかけて丁寧に行いましょう。

4.4 先行研究との差別化をアピールするポイント

研究計画書では、あなたの研究が既存の先行研究と比べて、どのような点で異なり、どのような新しい価値(オリジナリティ)を提供するのかを明確に示す必要があります。先行研究を踏まえつつ、自身の研究の独自性を効果的にアピールしましょう。

先行研究との差別化をアピールするための切り口としては、以下のような点が考えられます。

先行研究との差別化の切り口
差別化の切り口 具体例
研究対象(何を調べるか) 先行研究が扱っていない産業、企業規模、職種、消費者層などを対象とする。
理論的視点(どのレンズで見るか) 既存の研究とは異なる理論的枠組みや概念を用いて現象を分析する。学際的なアプローチを取り入れる。
研究方法(どう調べるか) 先行研究とは異なる調査手法(例:量的調査に対し質的調査、ケーススタディに対し大規模サーベイ)やデータ分析方法を用いる。新しいデータソースを活用する。
文脈(どのような状況で調べるか) 先行研究が行われた国や地域、時代とは異なる文脈(例:日本特有の経営環境、近年の社会経済状況の変化)で検証する。
課題解決への貢献 先行研究では十分に検討されてこなかった実践的な課題に対する新たな解決策や示唆を提示する。

研究計画書の中で差別化をアピールする際は、以下のように具体的に記述します。

  • 「先行研究では〇〇が主に議論されてきたが、本研究では△△という新たな視点を導入する点に独自性がある。」
  • 「既存の研究の多くは□□を対象としていたが、本研究ではこれまで十分に検討されてこなかった◇◇に焦点を当てることで、新たな知見を得ることを目指す。」
  • 「〇〇に関する従来の研究手法には△△という限界があった。そこで本研究では□□という新しいアプローチを採用し、より精緻な分析を試みる。」

単に「新しい研究である」と主張するだけでなく、先行研究との比較において、具体的に何がどのように違うのか、そしてその違いがどのような学術的・実践的な貢献に繋がる可能性があるのかを論理的に説明することが重要です。これにより、あなたの研究の意義と価値を審査員に効果的に伝えることができます。

 

5. 研究計画書の完成度をさらに高めるポイント

先行研究の読み込みと理解を深めた上で、研究計画書全体の完成度をもう一段階引き上げるための重要なポイントを解説します。ここで紹介する点を意識することで、審査員に「この受験生は研究遂行能力が高い」と評価される可能性が高まります。

5.1 魅力的な研究テーマ設定と絞り込み方

研究計画書の核となるのが研究テーマです。先行研究レビューを通じて研究分野の全体像を把握したら、自身の強い問題意識や実務経験と結びつく、オリジナリティのあるテーマを設定しましょう。漠然とした興味だけでなく、「なぜ自分がこの研究をしたいのか」「この研究が社会や実務にどう貢献できるのか」を明確にすることが重要です。

テーマ設定においては、以下の3つのバランスを考慮する必要があります。

  • 新規性・独創性:既存研究で未解明な点や、新たな視点・切り口が含まれているか。
  • 社会的・学術的重要性:研究成果がビジネスや社会、学術分野にどのようなインパクトを与えうるか。
  • 実現可能性:限られた期間とリソースの中で、実際に研究を遂行できるか。

最初は広範なテーマから出発しても構いません。先行研究を読み進め、自身の問題意識と照らし合わせながら、具体的な「問い」(リサーチクエスチョン)へと徐々に絞り込んでいくプロセスが不可欠です。例えば、「日本企業のDX推進」といった大きなテーマから、「中小製造業におけるDX推進を阻害する組織的要因の解明」のように、対象や焦点を具体化していきます。この絞り込みが甘いと、研究の焦点がぼやけ、計画全体が曖昧な印象を与えてしまいます。

5.2 審査員を引きつける論理構成とストーリー

優れた研究計画書は、明確な論理構成と一貫したストーリーを持っています。審査員である大学教員は、受験生が論理的に思考し、研究を計画・遂行できる能力を持っているかを見ています。以下の流れを意識し、各項目が有機的に繋がるように構成しましょう。

  1. 研究背景:なぜこの研究が必要なのか、社会的な状況や実務上の課題、学術的な文脈を説明する。
  2. 問題提起(研究目的):研究背景を踏まえ、何を明らかにしたいのか、具体的な研究の目的と問い(リサーチクエスチョン)を明確に示す。
  3. 先行研究レビュー:設定した研究テーマに関連する既存研究を整理し、どこまでが明らかになっていて、何が未解明なのか(リサーチギャップ)を示す。自身の研究の位置づけを明確にする。
  4. 研究方法:研究目的を達成するために、どのようなデータ(情報)を、どのように収集し、どのように分析するのかを具体的に記述する。
  5. 期待される成果と意義:研究によってどのような知見が得られると予想されるか、その成果が学術的・社会的にどのような貢献をもたらすのかを示す。
  6. 研究計画(スケジュール):修士課程の期間内で、いつ、何を行うのか、具体的なスケジュールを示す。
  7. 参考文献リスト:本文中で引用した文献を正確に記載する。

これらの要素が「なぜ(背景)→何を(目的)→どこまで分かっているか(先行研究)→どうやって(方法)→何が分かりそうか(期待される成果)」という一連のストーリーとして、淀みなく繋がっていることが重要です。特に、先行研究レビューで明らかにしたリサーチギャップと、自身の研究目的・問いが明確に対応しているか、提案する研究方法がその問いに答えるために適切であるか、といった論理的な整合性を意識して記述しましょう。

5.3 実現可能性を示す研究方法の記述

どれほど魅力的な研究テーマであっても、実現不可能な研究計画では評価されません。研究方法のセクションでは、「絵に描いた餅」ではなく、修士課程の期間内に実行可能であることを具体的に示す必要があります。

まず、研究目的に対して最も適切な研究アプローチ(量的研究、質的研究、事例研究、文献研究など)を選択し、その理由を明確に述べます。その上で、具体的な調査対象、データ収集方法(アンケート、インタビュー、観察、公開資料収集など)、分析方法(統計解析、テキスト分析、内容分析など)を詳細に記述します。

例えば、インタビュー調査を行うのであれば、対象者の選定基準、人数、質問項目(案)、実施方法(対面、オンラインなど)、データ分析方法(逐語録作成、コーディングなど)まで具体的に言及することが望ましいです。アンケート調査であれば、調査対象、サンプルサイズ、配布・回収方法、分析に用いる統計手法などを記述します。

研究方法の選択肢とその特徴について、以下の表にまとめます。

研究アプローチ 主な特徴 適用例
量的研究 数値データを収集・分析し、法則性や傾向を客観的に明らかにする。 アンケート調査による消費者行動分析、統計データを用いた市場トレンド分析など
質的研究 言葉や行動などの非数値データを分析し、事象の背景や意味を深く理解する。 インタビューによる経営者の意思決定プロセス解明、参与観察による組織文化の分析など
事例研究(ケーススタディ) 特定の個人、グループ、組織、出来事などを多角的に深く調査・分析する。 特定企業の成功・失敗要因分析、新製品開発プロセスの詳細な記述など
文献研究 既存の文献(論文、書籍、報告書など)を収集・分析し、新たな知見や解釈を導く。 特定の経営理論の変遷に関する考察、複数企業の財務諸表比較分析(公開情報に基づく)など

さらに、研究に必要なリソース(時間、費用、設備、協力者など)の見積もりと、その確保の見通しについても触れておくと、計画の実現可能性がより高まります。例えば、特定の企業へのヒアリングが必要な場合、その協力が得られる見込みがあるのか、代替手段はあるのか、といった点です。また、研究倫理への配慮(個人情報の保護、インフォームド・コンセントなど)についても言及しておくと、研究者としての姿勢を示すことができます。

これらの点を具体的に記述することで、「この受験生は研究プロセスを具体的にイメージできており、計画通りに研究を進められそうだ」という信頼感を審査員に与えることができます。

 

6. まとめ

国内MBA入試において、質の高い研究計画書は合否を左右する重要な要素です。その根幹となるのが先行研究論文の深い理解と適切な活用です。なぜなら、先行研究は自身の研究テーマの独自性や意義を明確にし、研究の質を高めるための土台となるからです。本記事で解説したCiNii ArticlesやJ-STAGEなどでの効率的な論文の探し方、批判的な読み方、そして研究計画書への具体的な活かし方を実践し、説得力のある計画書を作成してください。

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