
目次
1. 経営戦略とは何か:定義と重要性
経営戦略とは、企業が長期的に成功するための指針となる計画です。例えば、スターバックスの「プレミアムコーヒーを提供する」という戦略は、その後の展開の基礎となりました。経営戦略は企業の方向性を決定し、限られた資源を効果的に配分するために重要です。適切な戦略があれば、市場での競争優位性を獲得し、持続可能な成長を実現できるのです。
1-1 なぜ経営戦略が必要なのか
企業の方向性が定まらない中で、場当たり的に対応していては望ましい成果を得ることは難しいかもしれません。そうならないために、
- 企業のあるべき姿を考える
- 自社が置かれている外部環境を理解する
- 自社の内部環境(資源、リソース)を把握する
- 自社のあるべき姿に向かって行動のオプションを選択し、実行する
このプロセスが戦略となります。
そのため、目標があいまいであったり、立派な目標を掲げているだけで実行が伴っていなかったり、外部環境や内部環境を把握していないまま実行することも戦略とは呼べないのです。

2. 経営戦略の基本のフレームワーク
2-1 PEST分析
PEST分析は、企業を取り巻くマクロ環境を分析するツールです。Political(政治)、Economic(経済)、Social(社会)、Technological(技術)の4つの観点から外部環境を評価します。例えば、電気自動車メーカーであれば、環境規制の強化(政治)や原油価格の変動(経済)、環境意識の高まり(社会)、バッテリー技術の進歩(技術)などを分析します。
2-2 ファイブフォース分析
マイケル・ポーターが提唱したこのフレームワークは、業界の競争環境を5つの力から分析します。新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力、既存競合との敵対関係を評価します。例えば、スマートフォン業界では、新興メーカーの参入、ウェアラブルデバイスの台頭、通信キャリアの影響力などを分析し、競争戦略を立てます。
2-3 3C分析
3C分析は、Company(自社)、Customer(顧客)、Competitor(競合)の3つの要素を分析するフレームワークです。例えば、アパレルブランドの場合、自社の強みや弱み、顧客のニーズや購買行動、競合他社の戦略や市場シェアなどを詳細に分析します。これにより、市場での自社の位置づけを明確にし、効果的な戦略を立案できます。
2-4 SWOT分析
SWOT分析は、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)を分析するツールです。内部環境(強みと弱み)と外部環境(機会と脅威)を同時に評価できます。例えば、老舗の和菓子店が海外展開を検討する際、伝統的な技術(強み)、海外での知名度の低さ(弱み)、健康志向の高まり(機会)、現地の嗜好の違い(脅威)などを分析し、戦略を立案します。

今回のフレームワークは国内MBAの面接でも使います。これらのフレームワークを使って自社の立ち位置と事業課題を自分自身がどのように解決できる人材になりたいのかを整理するのに活用できます。
3. 経営戦略の策定プロセス
3-1 目標設定
目標設定では、企業が達成したい具体的な成果を明確にします。例えば、「3年以内に市場シェア10%を獲得する」や「5年後に海外売上比率を30%に引き上げる」といった具体的で測定可能な目標を設定します。これにより、組織全体で共通の目的意識を持ち、戦略の実行に向けて一丸となって取り組むことができます。
3-2 現状分析
現状分析では、企業の内部環境と外部環境を詳細に調査します。例えば、自社の財務状況、人材、技術力などの内部要因と、市場動向、競合状況、規制環境などの外部要因を分析します。ある家電メーカーでは、自社の強みである省エネ技術と、拡大するスマートホーム市場という機会を見出し、新製品開発の方向性を決定しました。
3-3 戦略立案
戦略立案では、設定した目標を達成するための具体的な計画を作成します。例えば、新規市場への参入、製品ラインの拡大、コスト削減などの戦略を検討します。例えば、アマゾンは、物流センターの自動化投資と、AIを活用したレコメンデーションシステムの導入を柱とする戦略を立案し、顧客満足度と収益性の向上を図りました。
3-4 実行と評価
策定した戦略を実行に移し、その結果を定期的に評価します。例えば、四半期ごとに売上や市場シェアなどの指標を確認し、必要に応じて戦略の修正を行います。ある飲料メーカーでは、健康志向の新商品の販売が計画を下回ったため、製品の再開発と販売チャネルの見直しを迅速に行い、戦略の軌道修正に成功しました。
4. MBAで学ぶ経営戦略
4-1 ケーススタディ
MBAでは、実際の企業事例を用いたケーススタディが重要な学習方法です。例えば、メルカリのビジネスプラットフォームやザッポスの顧客サービス戦略など、成功や失敗の事例を深く分析します。これにより、理論を実践に結びつける能力や、複雑な経営課題に対する洞察力を養うことができます。
4-2 フレームワークの応用
MBAでは、様々な戦略フレームワークを実際のビジネス状況に応用する訓練を行います。例えば、新興市場に参入する際のPEST分析や、新規事業の立ち上げにおけるSWOT分析など、状況に応じて適切なツールを選択し、効果的に活用する能力を磨きます。これにより、複雑な経営環境を体系的に分析する力が身につきます。
4-3 戦略的思考の育成
国内のMBAプログラムでは、短期的な問題解決だけでなく、長期的視点で事業の方向性を考える戦略的思考力を養います。例えば、業界の将来予測や、破壊的イノベーションへの対応など、先を見据えた意思決定の訓練を行います。実際に経験することは難しくても、疑似的に自分自身を置き換えて考え、体験することで、変化の激しいビジネス環境で的確な判断ができるリーダーとしての素養を身につけることができるのです。
5. まとめ
今回は経営戦略論の入口となる基礎について記事を書きました。国内MBAの入試を含めて経営戦略の細かい知識が求められることはあまりありません。
経営戦略は、企業の長期的な成功と持続可能な成長を実現するための羅針盤です。MBAで学ぶ様々なフレームワークや分析手法は、複雑なビジネス環境を体系的に理解し、効果的な戦略を立案するための強力なツールとなります。しかし、これらの手法を機械的に適用するだけでなく、常に変化する市場環境を敏感に察知し、柔軟に対応する能力が重要です。戦略的思考を身につけ、継続的に実践することで、ビジネスリーダーとしての真の力を発揮できるでしょう。
今回は戦略理論には触れていませんが、ご興味があればこちらもご覧ください。
ポーターVSバーニー論争のその後を考える

出所:ポーターVSバーニー論争のその後を考える(岡田 正大)より引用
書籍については、こちらをどうぞ。
『戦略の原点』(2007)清水 勝彦 著