Contents
- 国内MBAの研究計画書作成ガイド:理想の研究テーマを探すコツ
- 1. 国内MBAにおける研究計画書の重要性
- 1.1 研究計画書の役割
- 1.2 研究計画書が評価される観点
- 1.3 国内主要ビジネススクールの研究計画書要件
- 1.4 研究計画書が合格に与える影響
- 1.5 研究計画書作成のタイムライン
- 1.6 研究計画書と他の出願書類との関連性
- 1.7 研究計画書作成のサポート体制
- 1.8 研究計画書と入学後の研究活動
- 1.9 国内MBAと海外MBAの研究計画書の違い
- 2. 研究テーマが合格を左右する?
- 2.1 研究テーマの重要性
- 2.2 研究テーマが合格に与える影響
- 2.3 研究テーマ選定の3つの落とし穴
- 2.3.1 落とし穴1. テーマがあまりにも壮大すぎる
- 2.3.2 落とし穴2. テーマが専門的すぎて先行研究が少ない
- 2.3.3 落とし穴3. MBAの学びと関連性が薄いテーマを選んでしまう
- 2.4 効果的な研究テーマの選び方
- 2.5 研究テーマ例と評価ポイント
- 2.6 研究テーマの重要性を示すデータ
- 2.7 研究テーマ選定のためのブレインストーミング法
- 2.8 研究テーマと入学後の学び
- 3. 【段階別】 国内MBAの研究テーマの探し方
- 3.1 STEP1. 自分の興味関心の棚卸し
- 3.1.1 自己分析の方法
- 3.1.2 キャリアマップの作成
- 3.2 STEP2. MBAで学びたいことと関連づける
- 3.2.1 MBAカリキュラムとの整合性チェック
- 3.2.2 教授陣の研究分野との親和性
- 3.3 STEP3. 社会との接点を意識する
- 3.3.1 SDGsとの関連性
- 3.3.2 業界トレンドの分析
- 3.3.2.1 主要な業界トレンド例
- 3.4 STEP4. 先行研究をチェック
- 3.4.1 学術データベースの活用
- 3.4.2 最新の研究動向の把握
- 3.4.3 研究の隙間(リサーチギャップ)の特定
- 3.4.3.1 リサーチギャップの例
- 4. 【分野別】国内MBAで人気の研究テーマ例
- 4.1 経営戦略
- 4.1.1 デジタルトランスフォーメーション(DX)と企業競争力の関係性
- 4.1.1.1 研究アプローチ例
- 4.2 マーケティング
- 4.2.1 インフルエンサーマーケティングの効果測定と ROI 分析
- 4.2.1.1 調査項目例
- 4.3 ファイナンス
- 4.3.1 ESG投資の長期的パフォーマンス分析
- 4.3.1.1 研究手法例
- 4.4 組織人事
- 4.4.1 リモートワークが組織パフォーマンスに与える影響
- 4.4.1.1 調査項目例
- 4.5 アントレプレナーシップ
- 4.5.1 日本のユニコーン企業の成長戦略分析
- 4.5.1.1 分析フレームワーク例
- 5. 効果的な研究計画書の書き方
- 5.1 魅力的なタイトルの付け方
- 5.1.1 効果的なタイトルの特徴
- 5.1.2 タイトルの例
- 5.2 研究背景を明確に
- 5.2.1 研究背景の書き方のポイント
- 5.3 研究目的を具体的に
- 5.3.1 効果的な研究目的の特徴
- 5.3.2 研究目的の例
- 5.4 研究方法を具体的に
- 5.4.1 主な研究方法
- 5.4.2 研究方法の説明ポイント
- 5.5 想定される結果と貢献
- 5.5.1 想定される結果の記述ポイント
- 5.5.2 研究の貢献度の説明
- 5.6 研究計画書の構成と形式
- 5.6.1 研究計画書の標準的な構成
- 5.6.2 形式のガイドライン
- 5.7 研究計画書作成の最終チェックリスト
- 6. まとめ
国内MBAの研究計画書作成ガイド:理想の研究テーマを探すコツ
国内MBAの研究計画書作成に悩んでいる方必見!本記事では、理想の研究テーマを探すコツから、効果的な研究計画書の書き方まで、詳細に解説します。MBAの入試で重要な研究計画書の意義を理解し、よくある落とし穴を避けながら、自分に最適なテーマを見つける方法を段階的に学べます。さらに、経営戦略やマーケティングなど、分野別の人気テーマ例も紹介。慶應ビジネス・スクールや早稲田大学ビジネススクールなど、国内トップMBAでの合格実績を持つ専門家の助言をもとに、研究テーマ選定から計画書作成まで、MBAに向けた準備を万全にする知識が得られます。
1. 国内MBAにおける研究計画書の重要性
国内MBAプログラムにおいて、研究計画書は志願者の学術的関心と能力を示す重要な書類です。多くの場合、合否を左右する決定的な要素となります。
1.1 研究計画書の役割
- 志願者の学術的興味を示す
- 研究能力を評価する材料となる
- MBAプログラムとの適合性を判断する基準になる
研究計画書は単なる形式的な書類ではありません。スクールの教授陣が志願者の潜在能力を評価する重要な指標となります。
1.2 研究計画書が評価される観点
観点 | 詳細 |
---|---|
研究テーマの独創性 | 既存の研究との差別化、新規性 |
研究の実現可能性 | 2年間のMBAプログラム内で完遂できるか |
研究方法の適切性 | テーマに適した調査・分析手法の選択 |
ビジネスへの応用可能性 | 研究成果の実務への活用可能性 |
1.3 国内主要ビジネススクールの研究計画書要件
日本の主要なビジネススクールでは、研究計画書に関して以下のような要件を設けています。
- 慶應義塾大学ビジネス・スクール:1,700字程度
- 早稲田大学ビジネススクール:2,500字程度
- 一橋大学大学院経営管理研究科:4,000字以内
- 神戸大学MBA:3,000字程度
各校によって字数制限や形式は異なりますが、共通して求められるのは、研究テーマの明確な提示と、その研究を通じて何を明らかにしたいのかという目的の明確化です。
1.4 研究計画書が合格に与える影響
研究計画書は、志願者の以下の能力を示す重要な機会となります:
- 論理的思考力
- 問題発見・解決能力
- 学術的な文章作成能力
- ビジネスと学術の接点を見出す力
これらの能力は、MBAプログラムでの成功を予測する重要な指標となるため、教授陣は研究計画書を通じてこれらを慎重に評価します。
1.5 研究計画書作成のタイムライン
効果的な研究計画書の作成には十分な時間が必要です。以下は推奨されるタイムラインです:
- 出願6ヶ月前:テーマの探索開始
- 出願4ヶ月前:テーマの絞り込みと文献調査
- 出願3ヶ月前:研究計画の骨子作成
- 出願2ヶ月前:第一稿の執筆
- 出願1ヶ月前:推敲と最終調整
このようなスケジュールを立てることで、十分な準備時間を確保し、質の高い研究計画書を作成することができます。
1.6 研究計画書と他の出願書類との関連性
研究計画書は単独で評価されるわけではありません。他の出願書類との整合性も重要です:
- エッセイ:キャリアゴールと研究テーマの一貫性
- 推薦状:研究能力や学術的関心の裏付け
- 職務経歴書:実務経験と研究テーマの関連性
これらの書類全体で一貫したストーリーを描くことが、合格への近道となります。研究計画書はその中心的な役割を果たすものです。
1.7 研究計画書作成のサポート体制
多くのビジネススクールでは、研究計画書作成のサポート体制を整えています:
- オープンキャンパスでのガイダンス
- 在校生・卒業生によるアドバイス
これらの機会を積極的に活用することで、より質の高い研究計画書を作成することができます。
1.8 研究計画書と入学後の研究活動
研究計画書は入学後の研究活動の基礎となります。多くの場合、以下のように活用されます:
- 指導教員とのマッチング
- 初期の研究活動の指針
- 修士論文のベースとなる
したがって、単に入学のためだけでなく、MBAでの2年間の研究活動を見据えて作成することが重要です。
1.9 国内MBAと海外MBAの研究計画書の違い
国内MBAと海外MBAでは、研究計画書に求められる内容や形式に違いがあります:
項目 | 国内MBA | 海外MBA |
---|---|---|
研究の深さ | 学術的な深さを重視 | 実務への応用を重視 |
形式 | 詳細な研究計画書 | 簡潔なリサーチ・プロポーザル |
評価の比重 | 合否に大きく影響 | 他の要素と並列的に評価 |
国内MBAを志望する場合は、より学術的なアプローチが求められることを認識しておく必要があります。
2. 研究テーマが合格を左右する?
国内MBAの入学選考において、研究計画書は極めて重要な要素です。その中でも、研究テーマの選定は合否を大きく左右する可能性があります。ここでは、研究テーマの重要性と、それが合格にどのように影響するかを詳しく見ていきましょう。
2.1 研究テーマの重要性
研究テーマは、あなたのMBA入学後の学びの方向性を示すだけでなく、以下の点で評価の対象となります:
- 問題発見能力
- 論理的思考力
- ビジネスセンス
- 学術的興味
- 実務との関連性
適切な研究テーマを選ぶことで、これらの能力をアピールし、合格への道を開くことができます。
2.2 研究テーマが合格に与える影響
研究テーマは以下の点で合格に影響を与える可能性があります:
影響要素 | 説明 |
---|---|
独自性 | 新しい視点や切り口を持つテーマは評価が高くなります |
実現可能性 | 2年間のMBA在学中に完結できるテーマであることが重要です |
社会的意義 | ビジネスや社会に貢献できるテーマは高評価につながります |
自身の経験との関連 | 自身のキャリアや経験と結びついたテーマは説得力があります |
2.3 研究テーマ選定の3つの落とし穴
研究テーマを選ぶ際には、以下の落とし穴に注意が必要です。
2.3.1 落とし穴1. テーマがあまりにも壮大すぎる
「日本企業の国際競争力向上」や「グローバル経済の再構築」など、あまりにも大きなテーマは避けましょう。これらは2年間のMBA研究で扱うには範囲が広すぎます。代わりに、具体的で焦点を絞ったテーマを選びましょう。例えば、「中小企業のデジタルトランスフォーメーション戦略」などが適切です。
2.3.2 落とし穴2. テーマが専門的すぎて先行研究が少ない
非常に新しい技術や特定の業界に特化したテーマは、先行研究が少なく、研究の進行が困難になる可能性があります。例えば、「量子コンピューティングを活用した金融商品開発」などは、現時点では研究資料が限られているかもしれません。代わりに、「AIを活用した金融商品開発の現状と課題」のように、より広い視点で捉えたテーマを選ぶことをお勧めします。
2.3.3 落とし穴3. MBAの学びと関連性が薄いテーマを選んでしまう
MBAの主要な学習領域(経営戦略、マーケティング、ファイナンス、組織行動など)と関連性が薄いテーマは避けるべきです。例えば、「日本の伝統工芸品の歴史的変遷」といったテーマは、ビジネススクールの研究テーマとしては適切ではありません。代わりに、「伝統工芸品のグローバルマーケティング戦略」のように、MBAの学びと結びつけたテーマを選びましょう。
2.4 効果的な研究テーマの選び方
以下のステップを踏むことで、より効果的な研究テーマを選ぶことができます:
- 自身の興味・関心を洗い出す
- 現在の仕事や将来のキャリアプランと結びつける
- 社会や産業界のトレンドを調査する
- MBAの主要科目との関連性を確認する
- 先行研究の有無や量を確認する
- 研究の実現可能性を検討する
2.5 研究テーマ例と評価ポイント
以下に、研究テーマの例と、それらが評価ポイントを示します:
研究テーマ例 | 評価ポイント |
---|---|
「日本の中小企業におけるサステナビリティ経営の実践と課題」 | 時事性が高く、社会的意義がある。MBAの複数の科目(経営戦略、CSR)と関連している。 |
「リモートワーク時代における組織エンゲージメントに及ぼす影響分析~効果的な組織コミュニケーション戦略を中心に~」 | 現代的な課題に焦点を当てており、多くの企業に関連性がある。組織行動論やリーダーシップ論と結びつく。 |
「フィンテックスタートアップの成功要因分析:日本市場における事例研究」 | 新興産業に注目しており、ファイナンスとアントレプレナーシップの両面から研究可能。 |
これらのテーマは、現代的な課題に焦点を当て、MBAの学びと明確に結びつき、かつ実現可能性が高いという特徴があります。
2.6 研究テーマの重要性を示すデータ
研究テーマの重要性を裏付けるデータ(弊社調べ):
- ある国内トップビジネススクールの修士論文のテーマでは、合格者の約80%が「社会的意義のある研究テーマ」を選んでいました。
- 国内MBAに合格した方へのアンケートでは、約70%が「研究テーマの選定と作成に最も時間をかけた」と回答しています。
これらのデータからも、研究テーマの選定が合格に大きな影響を与えることがわかります。
2.7 研究テーマ選定のためのブレインストーミング法
効果的な研究テーマを見つけるために、以下のブレインストーミング法を試してみましょう:
- 興味のある分野や課題を5つ書き出す
- 各分野・課題について、関連するキーワードを3つずつ挙げる
- それぞれのキーワードに対して、「なぜ」「どのように」「何が」という疑問詞を付けて疑問文を作る
- 作成した疑問文の中から、最も興味深く、かつMBAの学びと関連性が高いものを選ぶ
- 選んだ疑問文を基に、研究テーマを具体化する
この方法を使うことで、自身の興味と学術的価値のバランスが取れた研究テーマを見つけることができるでしょう。
2.8 研究テーマと入学後の学び
適切な研究テーマを選ぶことは、入学後の学びにも大きな影響を与えます:
- 選択科目の決定に役立つ
- インターンシップや企業プロジェクトの方向性を定められる
- 同じ興味を持つ仲間とのネットワーキングが容易になる
- 卒業後のキャリアパスを明確にできる
したがって、研究テーマは単に入学選考のためだけでなく、MBA在学中から卒業後に至るまでの長期的な視点で選ぶことが重要です。
以上のように、研究テーマの選定は国内MBAの合格を左右する重要な要素であり、慎重に検討する必要があります。自身の興味・関心、キャリアプラン、社会のニーズ、そしてMBAの学びとの関連性を総合的に考慮し、魅力的で実現可能な研究テーマを見つけることが、合格への近道となるでしょう。
3. 【段階別】 国内MBAの研究テーマの探し方
国内MBAの研究テーマを探す過程は、単なるアイデア出しではありません。自己分析から始まり、MBAプログラムの特性を理解し、社会のニーズを把握するまでの総合的なプロセスです。以下の4つのステップを踏むことで、魅力的で実現可能な研究テーマを見つけることができるでしょう。
3.1 STEP1. 自分の興味関心の棚卸し
まず始めに、自分自身の興味や関心を深く掘り下げることが重要です。これは単なる趣味や好みではなく、キャリアを通じて培ってきた専門性や、将来のビジョンも含めた広範な自己分析です。
3.1.1 自己分析の方法
- 過去の業務経験を振り返る
- 今後のキャリアプランを考える
- 業界動向や最新技術に対する関心を整理する
これらの要素を整理することで、自分にとって意義深いテーマの方向性が見えてくるはずです。
3.1.2 キャリアマップの作成
自己分析の結果を視覚化するために、キャリアマップを作成することをおすすめします。過去の経験、現在の立ち位置、将来の目標を時系列で並べ、そこから浮かび上がるキーワードを抽出します。
過去 | 現在 | 未来 |
---|---|---|
営業職での顧客対応経験 | マーケティング部門でのデータ分析 | AI活用による顧客満足度向上 |
3.2 STEP2. MBAで学びたいことと関連づける
次に、自己分析で得られた興味関心を、MBAプログラムの学習内容と結びつけることが重要です。多くの国内MBAプログラムは、経営戦略、マーケティング、ファイナンス、組織行動学などの科目を提供しています。
3.2.1 MBAカリキュラムとの整合性チェック
志望するMBAプログラムのカリキュラムを詳細に調べ、自分の興味関心との接点を探ります。例えば、デジタルマーケティングに興味がある場合、そのMBAプログラムがデータ分析や消費者行動論の授業を提供しているかを確認します。
3.2.2 教授陣の研究分野との親和性
多くの国内MBAプログラムでは、教授陣の研究分野が公開されています。自分の興味のある分野で活躍している教授がいないか、チェックしましょう。教授の専門性と自分の研究テーマが合致していれば、より深い指導を受けられる可能性が高まります。
3.3 STEP3. 社会との接点を意識する
MBAの研究テーマは、単に個人的な興味だけでなく、社会的な意義や実務への応用可能性も重要です。現代社会が直面している課題や、ビジネス界のトレンドを意識しながらテーマを絞り込んでいきましょう。
3.3.1 SDGsとの関連性
持続可能な開発目標(SDGs)は、多くの企業や組織が取り組むべき重要な課題です。自分の研究テーマがSDGsのどの目標に貢献できるか考えることで、社会的意義を高めることができます。
3.3.2 業界トレンドの分析
自分が関心を持つ業界の最新トレンドを調査します。例えば、小売業に興味がある場合、オムニチャネル戦略やサブスクリプションモデルなどの新しいビジネスモデルについて調べてみましょう。
3.3.2.1 主要な業界トレンド例
- デジタルトランスフォーメーション(DX)
- サステナビリティ経営
- 働き方改革とリモートワーク
- シェアリングエコノミー
3.4 STEP4. 先行研究をチェック
最後に、選んだテーマに関する先行研究を調べることが不可欠です。これにより、自分の研究の位置づけや新規性を明確にすることができます。
3.4.1 学術データベースの活用
CiNii(サイニィ)やJ-STAGEなどの日本の学術データベース、海外ではGoogle Scholarや各種ジャーナルデータベースを使って、関連する論文や研究を探します。
3.4.2 最新の研究動向の把握
学会誌や業界誌の最新号に目を通し、その分野で今何が議論されているかを理解します。これにより、自分の研究テーマの新規性や重要性を裏付けることができます。
3.4.3 研究の隙間(リサーチギャップ)の特定
先行研究を調べる中で、まだ十分に研究されていない領域や、新たな視点が必要な分野を見つけることが重要です。これがあなたの研究テーマの独自性につながります。
3.4.3.1 リサーチギャップの例
- 既存理論の新しい文脈への適用
- 異なる学問分野の融合
- 新しい技術や社会現象への既存理論の適用
以上の4つのステップを丁寧に踏むことで、あなたの興味関心、MBAプログラムの特性、社会のニーズ、そして学術的な価値を兼ね備えた、魅力的な研究テーマを見つけることができるでしょう。このプロセスは時間がかかりますが、充実した研究生活の基盤となる重要な作業です。焦らず、じっくりと取り組んでください。
4. 【分野別】国内MBAで人気の研究テーマ例
ここでご紹介するてテーマはあくまで例です。先ほどもお伝えしたように、現在の職務経験や今後のキャリア計画の中でしっかりと
考えられた課題が研究テーマになることが望ましいです。どんなにてテーマが素晴らしくても、志望動機やキャリアとの論理的な整合性がなければ合格は難しいと考えます。
4.1 経営戦略
経営戦略分野は、企業の長期的な方向性や競争優位性を探求する重要な領域です。国内MBAでは、以下のようなテーマが人気です。
- デジタルトランスフォーメーション(DX)と企業競争力の関係性
- SDGsと企業の持続可能性戦略
- 日本企業の海外展開戦略:成功事例と課題
- プラットフォームビジネスモデルの競争戦略
4.1.1 デジタルトランスフォーメーション(DX)と企業競争力の関係性
DXは現代のビジネス環境において避けて通れないトピックです。企業がデジタル技術をどのように活用し、ビジネスモデルや組織文化を変革しているかを分析することで、競争力向上の要因を明らかにできます。
4.1.1.1 研究アプローチ例
- 成功企業のケーススタディ(例:ソニー、トヨタ自動車)
- 業界別DX推進度と財務パフォーマンスの相関分析
- DX人材育成と組織変革の関連性調査
4.2 マーケティング
マーケティング分野では、消費者行動の変化や新たなマーケティング手法に注目が集まっています。
- インフルエンサーマーケティングの効果測定と ROI 分析
- 顧客体験(CX)向上によるブランドロイヤルティ構築
- 日本市場におけるサブスクリプションモデルの有効性
- ビッグデータを活用したパーソナライゼーションマーケティング
4.2.1 インフルエンサーマーケティングの効果測定と ROI 分析
ソーシャルメディアの普及に伴い、インフルエンサーマーケティングは多くの企業で採用されていますが、その効果測定には課題が残ります。この研究テーマでは、効果的な測定方法と投資対効果(ROI)の分析手法を探ります。
4.2.1.1 調査項目例
項目 | 内容 |
---|---|
エンゲージメント率 | いいね数、コメント数、シェア数の分析 |
リーチ数 | 投稿の表示回数と unique ユーザー数 |
コンバージョン率 | クリック数、商品購入数、会員登録数など |
ブランド認知度 | キャンペーン前後の認知度調査 |
4.3 ファイナンス
ファイナンス分野では、新たな金融技術や投資戦略に関するテーマが注目を集めています。
- ESG投資の長期的パフォーマンス分析
- フィンテックによる日本の金融サービス革新
- 暗号資産の企業財務への影響と導入戦略
- コーポレートガバナンスと企業価値の関連性
4.3.1 ESG投資の長期的パフォーマンス分析
ESG(環境・社会・ガバナンス)要素を考慮した投資は、持続可能な社会の実現と投資リターンの両立を目指す手法として注目されています。この研究では、日本市場におけるESG投資のパフォーマンスを長期的に分析し、その有効性を検証します。
4.3.1.1 研究手法例
- ESG評価の高い企業群と低い企業群の株価パフォーマンス比較
- ESGファクターと財務指標の相関分析
- ESG投資ファンドのリターンとリスク特性の時系列分析
4.4 組織人事
組織人事分野では、働き方の多様化や人材育成に関するテーマが人気です。
- リモートワークが組織パフォーマンスに与える影響
- 日本企業における女性管理職登用の課題と解決策
- ミレニアル世代・Z世代の価値観に適応した人材マネジメント
- AI活用による人事評価の客観性向上と課題
4.4.1 リモートワークが組織パフォーマンスに与える影響
コロナ禍を機に急速に普及したリモートワークは、企業の生産性や従業員のウェルビーイングにどのような影響を与えているのでしょうか。この研究テーマでは、リモートワークの導入度合いと組織パフォーマンスの関係性を多角的に分析します。
4.4.1.1 調査項目例
評価軸 | 測定指標 |
---|---|
生産性 | 一人当たり売上高、プロジェクト完了率 |
従業員満足度 | エンゲージメントスコア、離職率 |
コスト効率 | オフィス維持費、通勤手当の削減額 |
イノベーション | 新規アイデア提案数、特許出願数 |
4.5 アントレプレナーシップ
アントレプレナーシップ分野では、スタートアップの成功要因や新規事業創出に関するテーマが注目されています。
- 日本のユニコーン企業の成長戦略分析
- オープンイノベーションによる大企業の新規事業創出
- 社会課題解決型ビジネスの成功要因
- シリアルアントレプレナーの特性と成功パターン
4.5.1 日本のユニコーン企業の成長戦略分析
日本におけるユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の非上場企業)は増加傾向にありますが、その数は他の先進国と比べて少ない状況です。この研究テーマでは、日本のユニコーン企業の成長戦略を分析し、日本発のグローバル企業を生み出すための要因を探ります。
4.5.1.1 分析フレームワーク例
- ビジネスモデルの革新性
- 資金調達戦略
- 人材獲得・育成方法
- グローバル展開のアプローチ
- 規制対応と政府との関係構築
これらの分野別研究テーマ例は、国内MBAプログラムにおいて注目されている最新のトピックを反映しています。自身の興味関心や経験と照らし合わせながら、独自の視点を加えてテーマを深掘りすることで、魅力的な研究計画書の作成につながるでしょう。
5. 効果的な研究計画書の書き方
国内MBAの研究計画書は、あなたの研究テーマと学術的能力を評価する重要な書類です。効果的な研究計画書を作成することで、審査員に強い印象を与え、合格の可能性を高めることができます。以下では、研究計画書の各セクションにおける重要なポイントを解説します。
5.1 魅力的なタイトルの付け方
研究計画書のタイトルは、審査員が最初に目にする部分です。簡潔かつ魅力的なタイトルをつけることで、研究内容への興味を引き出すことができます。
5.1.1 効果的なタイトルの特徴
- 研究テーマを明確に表現している
- 簡潔で分かりやすい
- 独創性や新規性が感じられる
- MBAの学びとの関連性が明確
5.1.2 タイトルの例
分野 | タイトル例 |
---|---|
経営戦略 | 「日本の中小企業におけるデジタルトランスフォーメーション戦略の効果検証」 |
マーケティング | 「SNSインフルエンサーマーケティングの費用対効果分析:日本の化粧品業界を事例に」 |
ファイナンス | 「ESG投資が日本企業の財務パフォーマンスに与える影響の定量分析」 |
5.2 研究背景を明確に
研究背景は、なぜその研究テーマを選んだのかを説明する重要なセクションです。社会的背景や問題意識を明確に示すことで、研究の意義を審査員に伝えることができます。
5.2.1 研究背景の書き方のポイント
- 社会的な問題や課題を具体的に説明する
- 先行研究の概要と限界点を示す
- 自身の経験や問題意識との関連を述べる
- MBAでの学びとの関連性を明確にする
研究背景を書く際は、単なる問題の羅列ではなく、それらの問題がどのように関連し合い、より大きな課題を形成しているかを論理的に説明することが重要です。また、自身の経験や問題意識を交えることで、研究テーマへの熱意や動機を伝えることができます。
5.3 研究目的を具体的に
研究目的は、あなたの研究が何を明らかにしようとしているのかを明確に示すセクションです。具体的かつ測定可能な目的を設定することで、研究の方向性と期待される成果を明確にします。
5.3.1 効果的な研究目的の特徴
- 具体的で測定可能
- 現実的かつ達成可能
- 時間制約を考慮している
- MBAのカリキュラムと整合性がある
5.3.2 研究目的の例
「本研究の目的は、日本の中小製造業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が、企業の生産性と競争力に与える影響を定量的に分析することです。具体的には、以下の3点を明らかにします:
- DX導入前後の生産性の変化を測定する
- DX導入が企業の競争力に与える影響を分析する
- DX導入の成功要因と障壁を特定する」
5.4 研究方法を具体的に
研究方法のセクションでは、研究目的を達成するために用いる具体的な手法や手順を説明します。適切な研究方法を選択し、その理由を明確に述べることで、研究の信頼性と実現可能性を示すことができます。
5.4.1 主な研究方法
- 定量分析(統計解析、アンケート調査など)
- 定性分析(インタビュー、ケーススタディなど)
- 文献調査
- 実験的手法
- フィールドワーク
5.4.2 研究方法の説明ポイント
- データの収集方法(サンプルサイズ、対象企業の選定基準など)
- 分析手法(使用するソフトウェアや統計手法など)
- 倫理的配慮(個人情報の扱い、企業秘密の保護など)
- 研究スケジュール(各段階の予定期間)
研究方法を説明する際は、選択した方法が研究目的の達成に最適である理由を明確に述べることが重要です。また、想定されるリスクや限界についても言及し、それらへの対処方法を示すことで、研究の実現可能性を高めることができます。
5.5 想定される結果と貢献
このセクションでは、研究から得られると予想される結果と、それがビジネス界や学術界にどのような貢献をもたらすかを説明します。具体的な予測を示すことで、研究の意義と価値を強調することができます。
5.5.1 想定される結果の記述ポイント
- 予想される主な発見や傾向
- 結果の解釈と意味づけ
- 予想外の結果が得られた場合の考察
5.5.2 研究の貢献度の説明
研究の貢献度は、以下の観点から説明することができます:
貢献の種類 | 説明 |
---|---|
理論的貢献 | 既存の理論の検証、新しい理論の構築、理論の拡張など |
実務的貢献 | 企業の意思決定支援、新しいビジネスモデルの提案、業界への提言など |
方法論的貢献 | 尺度や新しい分析手法の開発、既存手法の改良など |
研究の貢献を説明する際は、具体的な例を挙げながら、その研究がどのように実務や学術の発展に寄与するかを明確に述べることが重要です。また、MBAで学ぶ知識やスキルがどのように研究に活かされ、そしてその研究結果がどのようにMBAでの学びを深めるかについても言及すると良いでしょう。
5.6 研究計画書の構成と形式
効果的な研究計画書は、内容だけでなく、適切な構成と形式も重要です。以下に、一般的な研究計画書の構成と形式のガイドラインを示します。
5.6.1 研究計画書の標準的な構成
- 研究テーマ
- 研究背景および研究目的
- 研究方法
- 予想される結果(仮説)と論文の貢献
- 参考文献リスト ※文字数的に余裕があれば
5.6.2 形式のガイドライン
最近はオンライン出願も増えており、かつ大学側からの指定もあるので、参考程度に考えていただければと思います。
- フォント:明朝体または MSゴシック(サイズ10-12ポイント)
- 行間:1.5行または2行
- 余白:上下左右20mm程度
- ページ番号:各ページの下部中央に記載
- 全体の長さ:通常2-10ページ程度(大学院によって異なる)
これらの構成と形式を守ることで、読みやすく、審査員に好印象を与える研究計画書を作成することができます。ただし、応募する大学院の具体的な要件を必ず確認し、それに従うことが重要です。
5.7 研究計画書作成の最終チェックリスト
研究計画書を提出する前に、以下のチェックリストを使用して最終確認を行いましょう。これにより、研究計画書の質を高め、審査での評価を向上させることができます。
チェック項目 | 確認ポイント |
---|---|
テーマの適切性 | MBAの学びと関連しているか、実現可能な範囲内か |
論理的一貫性 | 背景、目的、方法、予想される結果が論理的につながっているか |
具体性 | 抽象的な表現を避け、具体的な説明がなされているか |
独自性 | 研究の新規性や独自の視点が明確に示されているか |
文章の明瞭さ | 文章が簡潔で分かりやすく、専門用語の説明は適切か |
形式の適切性 | 指定された形式(フォント、レイアウト、ページ数など)を守っているか |
参考文献 | 適切に引用され、参考文献リストが正しく作成されているか |
スペルミス・誤字脱字 | 全体を通して誤字脱字がないか確認されているか |
最終チェックの際は、時間を置いてから客観的に読み直すことが重要です。また、可能であれば、同僚、友人などに読んでもらい、フィードバックを得ることも効果的です。これにより、自分では気づかなかった改善点を発見し、より質の高い研究計画書を作成することができます。
6. まとめ
国内MBAの研究計画書作成において、適切な研究テーマ選びは非常に重要です。本記事で紹介した段階的なアプローチを参考に、自身の興味関心とMBAでの学びを結びつけ、社会との接点を意識しながらテーマを探してください。また、先行研究のチェックを忘れずに行うことで、より実現可能性の高い研究テーマを見つけることができるでしょう。慶應ビジネス・スクールや早稲田大学ビジネススクールなど、国内の有名MBAプログラムでは、経営戦略やマーケティング、ファイナンスなどの分野が人気です。最後に、研究計画書を作成する際は、魅力的なタイトルをつけ、研究背景や目的、方法を明確に記述し、想定される結果と貢献についても言及することを忘れないでください。これらのポイントを押さえることで、合格に近づく質の高い研究計画書を作成することができるはずです。